多くの人にとって新年といえば餅が欠かせません。
どのような意見があろうとも、新年の始まりは餅とともにあります。
元旦の朝には雑煮で体を温め、磯部餅を海苔で味わい、きな粉餅も多くの人に愛されています。
餅を食べない新年は想像もつかないかもしれませんが、伝統や独特の風習が色濃く残る地域では、新年に餅を食べないという習慣が存在します。
では、なぜそうした地域では餅を食べないのでしょうか。
本記事では、新年に餅を食べる一般的な理由と、それをしない地域の風習について詳しく探っていきます。
お正月の餅の由来と食べ方
私は毎年、新年には欠かさず餅を楽しみます。
雑煮に餅を加えて味わう習慣、海苔で巻いて醤油をつけて食べる磯部餅、そしてきなこ餅など、餅の楽しみ方は多岐にわたります。
部屋のどこかには必ず鏡餅も飾られています。
これが私たちが知る一般的な新年の風景です。
そもそもなぜ新年には餅を食べるのでしょうか。
その起源は1000年以上前、古墳時代に遡ります。この時代にもち米と餅が日本に伝わりました。
つまり、その時代から日本人は新年に餅を食べ続けています。
古来、餅は祝日や特別な日に楽しむ食べ物とされていました。
稲から多くの籾が得られることから、人々はその中に神性を感じたのかもしれません。
米を餅にする行為は、神を形にするようなもので、非常に特別な意味がありました。
かつては季節を問わず節目で餅を食べる習慣があり、訪れる客に対してもおもてなしの料理として提供されていました。
現在では主に新年に食べられる「鏡餅」も、元々はお盆にも用いられていたことがあります。
餅を食べない新年の風習
長い伝統を持つ餅は、元旦やお正月だけでなく、他の祝日にも食べられることがありました。
かつてはお盆にも鏡餅を飾る習慣がありましたが、これは次第に廃れていきました。
日本には、新年を餅なしで過ごす地域も存在します。以下で、餅を使わない新年の理由や、その代わりに何を食べるのかを紹介します。
餅を食べない新年の意味
「餅なし正月」は、文字通り、餅をつかず、食べず、供えないことを意味します。
この習慣は家庭や地域によって異なり、餅を避ける期間もまちまちです。
この風習がある理由は多岐にわたりますが、一つの説によると、正月三が日は餅を神様に供えるために人が食べるべきではないという考えが根底にあります。
また、日本が稲作中心の文化として発展する中で、正月に必ず餅を食べるという習慣に対する反発が生まれたという見方もあります。
芋を食べる新年:芋正月
餅の代わりに何を食べるかというと、地域によっては芋、うどん、またはお蕎麦が選ばれることがあります。
これらは餅正月の代替として「芋正月」と呼ばれることもあります。
つまり、餅なし正月が新年の祝福を否定しているわけではなく、ただ異なる食材でお祝いする風習があるのです。
新年に餅を避ける地域の風習
新年にお餅を食べない習慣は、地域によって異なる背景や伝承に基づいています。
一部地域では、餅を避ける理由には不吉な伝説も絡んでいます。
例として、福井県の特定の地区では「千匹狼」という伝説に基づき、新年に雑煮を食べると狼の毛がお餅に混入するとされており、代々この習慣が続いています。
また、同じく福井県には、先祖が古代の鈴鹿山での戦いに参加し、戦勝を祝う餅を誤って詰まらせたために不幸が生じ、それ以降正月に餅を食べないという家族も存在します。
長野県の別の地域では、元旦にお餅を食べると腹痛を引き起こすと言われており、そのために新年には餅を避ける風習が根付いています。
新年にお餅を控える地域の風習とその背景【まとめ】
この記事では、新年にお餅を食べない特殊な習慣に焦点を当てて解説しました。
通常、新年には祝福の意味を込めて餅を食べることが一般的です。
ところが、先祖にまつわる不幸な出来事や、神様への供物として新年には敢えて食べないという地域もあります。
「餅なし正月」の背景には、それぞれ独自の文化や伝承が関わっています。
お正月といえども、地域によっては多種多様な風習が存在することは、非常に興味深いですね。